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2006/08/09

音楽を打ち込むという事

一言でいえば、難しい。まぁ、難しいといってしまったら、一言で終わってしまうのだが。

私の場合は、ゲーム音楽の他にも、管弦楽曲(英語風に言うと、オーケストラの事)というジャンルをよく打ち込むのですが、これらは通常、生身の人間が演奏する楽器で構成されます。
そして、音楽という分野は技術の分野とはちがって標準(Standard)といったのは無く、従って単位も有りません。
唯一の楽譜ですら、曖昧な表現がされています。

例えば、
 p … 弱く
 mp … やや弱く
 mf … やや強く
 f … 強く。

さて、技術の世界ではどうでしょう?こんな事ありえません。
音の強さという事でしたら、dBという単位で記述されます。
例)  1 [dB], -10 [dB]

このMIDI楽器。この世にある99.9%以上のMIDI楽器が、電子回路で構成されているはずです。
当然、電子回路である以上、人間のような曖昧な表現は理解できません。
これらの楽器は、音の強さにしても、長さにしても、すべて規定の単位で指定しなければなりません。

例えば、mf。
MIDI規格上は、mp及びmfは、ヴェロシティー値が64と規定されています。
しかしながら、実際の演奏では、数値化はされていません。
作曲者や、指揮者、そして演奏者が『このくらいの強さかな?』と場面をみて判断します。
音楽上は、mfというのは『やや強く』という意味でしかなく、『ヴェロシティー64』という事ではないのです。
この『やや』という言葉は、技術の世界では使っては行けない言葉ではありますが、これが音楽の肝。
音楽とは技術ではなく芸術の範疇であり、芸術家がその『感性で決めなければならない』所なのです。


ここが、打ち込みの辛いところ。
そんな『やや』なんて言葉は、MIDI楽器には理解できません。
打ち込む人間は、この『やや強く』を、『数値』に置き換えなければなりません。

楽譜にmfって書いてあるから、『んじゃぁヴェロシティー64にするか。』といった打ち込みでは、それはただ楽譜をコピーしただけです。曲を打ち込んだとは言えません。
曲を打ち込むとは、楽譜の情報に、『+α』が必要になります。

そして、1つの音符。例えば、テンポ60の4部音符。この音符は、1秒間発音する事になります。言い換えれば、1000ミリ秒です。この1000ミリ秒の間にも音量変化があります。
『人間が、一定の音圧で演奏できるわけが無いじゃないからかな?』とおもったあなたは、近い!!

一つの音符でも、表現の仕方が色々とあるのです。
その人間の曖昧な要素もそうなのですが、それに加えて演奏表現が必要です。
クレッシェンドや、デクレッシェンド、スタッカートもその一例ですが、それが『楽譜には書いておらず、『アドリブでやら無ければならない。』。そして、一つの音符でも、それらよりも複雑な音量変化による表現が必要になったりするのですが、それだけでは有りません。

音量のほかにも、音程(周波数)、そして倍音成分の変化(管楽器の場合は、息の吹き方。弦楽器の場合は弓の位置や、弦の場所)も、一つの音符で変化させなければならないときがあります。

ようは、全部、これを数値化しないといけないのです。

『MIDIは、演奏ではなくてオルゴールと同じだ。』と言う人が居るかもしれません。
何を言いますか!!
MIDIデータを作っている人も、オルゴールを作っている人にも、侮辱する言葉です。

MIDIデータを作る人も、オルゴールを作る人も、私は立派な演奏者であると思う。

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